アラカルト

今年一番の展示

2020年の9月が始まりました。今年も残すところあと4ヶ月。総裁選に大統領選と、今後もいろいろと変化がありそうです。◆さて広島の続きですが、レストハウスの次に寄ったのが、同じ公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館です。去年は広島平和記念資料館を見学したので、今年はこちらを見学しようと決めていました。この祈念館は、2002年に国立の施設として設立され、広島の原子爆弾投下により死亡した人々や、その後に亡くなった被爆者を追悼し、世界平和を願う目的で建てられています。地下2階の構造になっていて、入口から入るとらせん状のスロープを降りながらあの日を感じるように設計されていて、中央には広い円形の死没者追悼空間が広がります。中央に原爆投下時刻の8時15分を表す水盤が置かれ、円筒形の壁面全面には爆心地となった島病院付近から見た被爆後の街並みが死没者数約14万人(推計値)と同じ数のタイルを用いて表現されていました。一つ一つのタイルに命が込められている感じでした。その他、遺影コーナー・情報展示コーナー・体験記閲覧室・展示室がありますが、とても素晴らしかったのが企画展「時を超えた兄弟の対話 ―ヒロシマを描き続けた四國五郎と死の床でつづった直登の日記―」でした。原爆により18歳という短い生涯を閉じた四國直登さん(1927-1945)と、その最愛の弟を失ったことにより、画家として反戦・核兵器廃絶を訴えることに全身全霊をささげた四國五郎さん(1924-2014)の物語です。「死んだ人々に代わって絵を描こう。戦争反対・核兵器廃絶を。芸術になろうがなるまいが...」弟の死が兄にそう決意させたのでした。広島の人は五郎さんの作品を見ることはよくあったようですが、私はこのお二人のことも彼の作品も初めてでした。この企画展では、被爆当日から亡くなるまで、病床でつづられた直登さんの日記を中心に、兄・五郎の追悼文や作品を紹介しながら、時を超えた2人の対話を再現されています。また、展示手法として映像展示が取り入れられている点が素晴らしく、そのナレーションは女優の木内みどりさんが担当されています。まったく事情がわからずなんとなく入った展示室でしたが、もう釘付けでした。後から知りましたが、このナレーションを終えた木内さんは翌日に永眠されたとのことです。彼女としても全身全霊をかけてこのナレーションに望んだことを理解しました。おそらく、この映像はこの展示で終わるものではなく、その後語り継がれていく「作品」になっていくと思われます。そのくらいの何か魂が震えるものを感じました。当然ながら今年一番の展示でした。会期は今年の12月29日までですので、もし広島に行く機会のある方はぜひ足を運んでみて下さい。◆お昼に食べた広島焼きのお店にマスクケースがあったんですが、ケース自体設置されているのが珍しかったですが、さらにそこに広島弁が書かれているのが面白かったです☆

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│-│-│2020/09/01(火) 21:10

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