アラカルト

時が止まった部屋

ようやく今年の授業が終わりました。嬉しさよりも、ドッと疲れが出る。早く寝たい。◆さて、今期の展示論では「事件現場を再現する」ということとなったので、その後警察署に行ったりして情報収集を続けています。で、調べる中で特徴的な展示を見つけました。それが、写真の本です。遺品整理人の小島美羽さんという方が書いた『時が止まった部屋』という本と孤独死の現場をミニチュア再現した模型です。かなり衝撃を受けました。現在27歳の彼女は、自ら過酷な現場と向き合い、孤独死という他の国にはあまりない日本の闇をなんとか知ってもらいたいと願い、模型という手法に辿り着き、2016年から作り続けています。写真ではなく立体にすることで、何か特別な思いが伝わってきます。ご関心がありましたら、本のタイトルで検索していただければ動画がいくつか出てきます(テーマがテーマなだけに閲覧注意ですが)。これまでいろんな模型や展示を見てきましたが、これほど思いの詰まった模型を見ると、とても考えさせられます。模型をうまく作る人はたくさんおりますが、「訴えかける」という意味では、洗練されていないが故のリアリティを感じます。まさに、これこそアール・ブリュット(生の芸術)と言える作品ではないでしょうか。学生にも見せているので、彼らなりの模型ができることを期待したいと思います。

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│-│-│2019/12/19(木) 22:34

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