アラカルト

真のプロデュース 〜奈良の偉人から学ぶ〜

やはり1日雨。どこにも行く気がせず、積んであった本などを読んだりしていました。◆さて、奈良の話です。奈良公園に行くとたいてい寄るところがあります。中村直三(なかむら なおぞう:1819-1882)さんの石碑です。奈良県庁の脇にあります。全国的な知名度はほとんどありませんが、幕末から明治にかけて、日本の農業振興に命を捧げた奈良の偉人です。かつて、奈良のプロジェクトを担当していた時、奈良の歴史を詳細に調べたことがあり、その中でとくに印象に残った人物でした。かつての日本は本当に貧しく、彼は小さい頃飢饉の悲惨さを目の当たりにし、「米の増収こそが解決策である」と考え、全国を行脚し、稲の研究と品種改良を行い、その普及に尽力します。第1回内国勧業博覧会(明治10年)に出品した稲種が321種、第2回博覧会(明治13年)での出品はなんと742種にのぼります。個人でここまでできるのかと驚愕しました。こういうことこそ、真のプロデュースというのではないでしょうか。プロジェクトに関わったとき、奈良の人に「奈良には美味しいものが少ない」などといわれましたが、かつての奈良は米所であり、こうした人物が努力していたことを皆忘れてしまっていたのです。行く度に石碑の柵が荒れて看板も読めなくなってきているので、もう少し補修され、この方に光が当たることを心より祈念したいと思います。

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│-│-│2021/03/21(日) 20:12

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