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アラカルトブラックボックス化の先にあるもの2020年度の終わりがだんだん近づいてきています。実はこの3月末で大学勤務が丁度20年となります。教育環境とはまったく異なる世界から入ったので、最初はどうなることやらと思いましたが、小さな課題は沢山ありましたが、大きな失敗を起こすこともなくそれなりの成果を残せたかなぁとは思います。かなり使い捨てされたこともあったですが、それも経験でしょうか。◆ところで、最近新しいツールが手に入りました。ボールペンではありません。車に使用するもので、ウォッシャーノズルの目詰まり等を解消する道具です。両側に2本の針が付いていて、細い方が目詰まりをとるもので、反対側の太い方はノズルの向きを調整するための針です。最近は細い針金を利用した荷札などが使われなくなり丁度良いものがなく、ノズルが詰まるとそのままにして、オイル交換の時などにお店の人にお願いしていました。ただ、このくらいのことは自分でやろうと思い、前から欲しかったんです。黄砂や花粉の時期ですし、これから重宝します。車は好きで洗車はしますが、あんまり自分で整備しないので、できそうなことは覚えていければと思います。昔、工場のおっちゃんに「そのくらい自分でやれ!」って良く怒られたなぁ。それに昔は作業をしている場面をずっと見させてくれました。今は「ロビーで座ってて下さい」ですから、作業場面を見ることすらなくなりました。効率性も大事ではありますが、物事のブラックボックス化は創造力や創作力をなくしてしまうことに繋がります。?まず作業を見る、?自分で分解する、?見よう見まねで組み立てる(で、壊しちゃったりなんかする)。こうしたプロセスを経てモノの仕組みを理解し、次なる創作の意欲や発想が生まれるのですが、今の社会はそれを放棄しているかのようです。電子化が進めばさらに関心を持たなくなるでしょう。もちろん、秘密保持という問題や、人に見られると作業に集中できないなどの問題もあると思います。あるいは個人で修理できたら売り上げが減るという問題などもありますが、教育という視点で考えると可能な範囲で見せるべきなのです。そんなワークショップスペースがあると素敵だなと思います。個人的に好きなのは、岐阜・各務ヶ原市航空宇宙博物館と東京・お台場のヒストリックガレージにあるレストアスペースです。来場者が飛行機や旧車のレストア作業を見られる空間があるのです。ブラックボックス化が進んでしまうと、極端な話、親がどんな仕事をしているのかすら知らない子どもが増えてしまいます。また、利用することだけで物事の裏側や本質に関心をもたなくなります。文教分野では、1980年代後半くらいにその事が社会問題化し、子ども達に構造を理解してもらえるように、「シースルーモデル」といって中身が見えるように作る動きがありました。しかし、そうした動きもあっという間になくなったような気がします。個人的にはこのことをずいぶん昔から深刻に受け止めています。また、電子化が進み、シースルーにできないものも沢山でてきました。今はお金すら形の見えないモノになってしまいました。今はいいのでしょうが、本質を理解できなくなるばかりか、不測の事態に対応する能力も失われていくはずです。ただ、最近は工場見学的施設などが親子に好評で、インスタントラーメン博物館など製造過程をただ見るだけでなく、自分でも作れる環境ができつつあるのは一つの方向だと考えています。あと、凄いなぁと思うのは、近江八幡のクラブハリエさんです。あのバームクーヘンはレシピが公開されていますし、作る場面もお客さんに見せています。ああいうことができる組織が本当の意味で「強い組織」なのだと思います。
│-│-│2021/03/25(木) 21:17│
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