アラカルト

この季節になぜヒオウギを飾るのか?

今日は退院後の定期検診の日。5月の健康診断の結果を提示したところ、大きな問題はないとのこと。ただ、別件で眼底に異常があるらしく、また落ち着いたら再検査をしないといけません。◆七夕が過ぎると、例年京都ではコンチキチンと祇園祭の音色が広がりますが、今年も新型コロナで中止。ただ、山鉾は組み立てるところもあるようです。今週のお花は、「ヒオウギ(檜扇)」でした。この花の葉は扇状に広がる珍しい形をしているので、この名があります。これからオレンジ色の花を咲かせます。「檜扇」とは、本来は今の扇子の古い形です。祇園祭ではこの花が欠かせないのですが、それは疫病退散・悪霊退散に効果があるとされるからです。ではなぜ、扇がそのような効果があるのか。簡単にいうと、「扇」というのは、本来「蛇」を象徴化したもので、蛇は脱皮することから「悪いものを拭い去る」という意味があります。この蛇は太古の昔は神として祀られていて、その蛇神の根源が「山の神」につながるのです。古代の日本人は人が死ぬと山に帰ると考えていて、生まれ変わると信じられてきました。つまり、この山の神は人間の祖神であると考えられてきたのです。巡り巡って、ヒオウギ=蛇神=山の神=祖神という構図があるのですが、現代ではそのことがほとんど忘れ去られ、形だけが残っているのです。和歌山県熊野地方では、「扇立祭(おうぎたてまつり)」といって、巨大な檜扇を御神体とし、お祓いを行う古いお祭りが今でも行われています。ヒオウギは少し変わった形をしていますが、日本人にとってはとても歴史や信仰と深く結びついた「神の存在」のようなものなのです。

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│-│-│2021/07/09(金) 21:05

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