アラカルト

「フルメンテナンス」という文化

セミの声が明らかに弱々しくなっていて、季節の変わり目を音でも感じます。今日は朝から夕方まで会議で、その合間に打ち合わせが入ったりしましたので、自分のことが何もできず…。もう少し会議って減らせないのかなぁ。◆さて、昨日の話になりますが、検査のあとちょっと扇子専門店に伺いました。3回生ゼミでSDGsと伝統産業というテーマで共同研究を行っていて、個人的に扇子というモチーフに関心を持ったからです。もともと扇子は普通に使っていますが、驚いたことにうちのゼミ生で使っている人はいませんでした。最近は皆ハンド扇風機(ハンドファンといういうらしいですが)を使っているそうです。扇風機は確かに便利なのでしょうけれど、SDGsという観点からみると、電池(あるいは充電池)を使用し、ほとんどがプラスチック製ですので、環境に配慮されているとはいえません。また、壊れたらゴミになるだけですし、何より風情がありません。また、そうした新しいツールが工芸産業をジワジワと破壊していきます。私が伺った山科の花山・元慶寺近くにある「大むら」さんの扇子は、もちろん竹と紙だけで制作され、竹は京都産のものだそうです。このお店の特徴は、フルメンテナンスで対応しているという点です。つまり、全て修理可能ということ。紙や骨の取り替えはもちろんのこと、要の金具の交換、香りの後付けまで全て対応してくれます。グーグルで「扇子」「フルメンテナンス」で検索すると大むらさんのHPがヒットし、うちからも近いので関心を持ち、一つ買ってみました。写真の扇子は男性用で、紙の幅が狭く広範囲に風が広がる構造となっていて、普通のものとは少し形が異なります。骨は45本もありますが、とくに重くは感じません。50本くらいの中からカワセミが手書きされたものを購入。1万1千円でした。印刷モノなら3千円代からありますが、せっかくなので少々高いものにし、大事に使うことにしました。フルメンテナンスであれば、安心して一生使えます。昔は良いものを大切に長く使う文化がありましたが、今でもその文化を引き継いでいるお店があって嬉しく思いますし、ゼミを通じてそうした世界を少しでもクローズアップできればと考えています。山科はかつて扇子団地で有名でしたが、今ではどこにあるのかという感じです。いつか扇子祭りを復活させたい。

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│-│-│2021/09/08(水) 19:48

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