アラカルト

権力者の狂気とその末路

日に日にロシア軍によるウクライナ侵攻が残虐さを増してくるように思われます。もはや、プーチンは誰の意見も聞かない感じです。この状況が、なんだか織田信長とダブって見えてきました。権力者の末路というかなんというか、権力を持ちすぎると常軌を逸する点が似ているように思えます。信長の近くにいた宣教師・ルイス・フロイスの書簡によれば、織田信長は天正10年(1582)の自分の誕生日(5月12日)に、己を生神とする祭典を大々的に開催し、武士だけでなく庶民にも参詣を強要したという。その祭典には、全国から信じられないほど多くの人が集まったとされています。そのとき、信長はいくつかのお触れを出したとされ、以下がその概要です。
●信長は、自分の誕生日を「聖日」と定め、安土城内にある総見寺に参詣するように命じた
●参拝すれば80歳まで長生きし同時に病気も治り健康に過ごす事が出来る
●お金持ちが参詣すれば増々栄え、貧しい者が参詣すれば裕福となる
●また、子供が出来ない者が参拝すると子宝に恵まれる
●日々参拝を欠かさなければ幸福が訪れるが、信長を信じない者は現世でも来世でも滅亡する
もし、これが本当なら「自分以外を信じるな、そうしないと滅亡する」ということで、普通ならどうかしています。狂気としかいえません。この時から1ヶ月も経たない6月2日に「本能寺の変」で明智光秀に討ち取られるわけです。フロイスは、信長は自らが神になろうとしたため、天罰を受けたのだと断じていて、私はこの「信長の自己神格化による討伐論」が案外的を得ていると考えています。ただ、この自己神格化については、フロイスなど外国の記録に限られており日本側の記録に見られないことから、国内ではあまり重要視されていません。しかし、身近にいた明智光秀は、自分の意見も通らなくなり完全に心が折れたのだと思えてなりません。そこが、いまのプーチンと少し共通するような気がしていて、なんとなく「敵はクレムリンにあり!(実際は別の場所に移っているかも)」という側近がでてくる可能性がちょっとあるような気がしています。写真はいつかの安土山です。

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│-│-│2022/03/07(月) 22:40

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