アラカルト

錦木塚の伝説

連休が終わり今日から仕事の人も多いと思いますが、休みが長いとなんとなくやる気が起きません。ぼちぼちやりましょう。◆さて、今週の生け花は、「ニシキギ」でした。紅葉で有名な木ですが、この新緑の時期も生命力を感じます。ちょっと調べてみますと、このニシキギ(錦木)に関する古い伝承が東北地方にありましたので、以下にご紹介いたします。いくつかの種類があったのですが、私なりに一番しっくりする伝承を要約してみました。

昔、鹿角に政子姫という織物が上手な美しい娘がいたそうな。近くの集落に住む若者が彼女に心動かされ慕うようになりました。この地域では男性が好きな女性の家の門前に錦木を立てておき、それが家の中に招かれると恋が成就するという風習がありました。当然彼も錦木を彼女の家の門に立てましたがなかなか招かれず、来る日も来る日も錦木を立ててました。しかし、彼女の父親が反対していたため恋は実らず、あと1日で千日を迎えるという日に若者は亡くなってしまいました。その後、姫も悲しみのあまり、彼の後を追うように亡くなりました。父親は自分のしたことをとても悔い、二人を丁寧に埋葬したのです。それが現在「錦木塚」として伝わっています(秋田県鹿角市十和田錦木)。

伝説の中身はここ山科の小野という所に伝わる小野小町と深草少将の「百夜通い」の伝承とほぼ同じです。こちらは100日ですが、角館は1000日です。どちらも史実かどうかは不明です。ただ、錦木については葉が真っ赤になるので、恐らく昔から「情熱」を意味していたのではないかと思ったりします。また、枝が特徴的なので、少し神秘的な木としても信仰されていたのかも知れません。地方によってニシキギが恋愛の道具として使われていたなんて、日本って深いですね。

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│-│-│2023/05/08(月) 22:03

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