アラカルト

熊野学講座

連休の中日ですが、京都は1日あいにくの雨でした。今日は午後から京都駅前のキャンパスプラザ京都にて京都橘大学・那智勝浦町連携協定締結記念として最初のプログラム・熊野学講座『古からの絆 京の都から熊野へ』を開催しました。最初に那智山青岸渡寺副住職の高木亮英様から、修験道にまつわるお話を映像を交えてお伺いし、後半は熊野詣についての概略をお聞きしました。中でも印象的だったのが熊野信仰がもつ複合性のお話で、あらゆる物を包み込んでしまう信仰在り方について興味をもちました。「心の安らぎ」「慈しみの心」の言葉がとくに印象的でした。続いて熊野那智ガイドの会の生熊みどり様から熊野参詣曼荼羅の絵解きをしていただきました。熊野比丘尼そのままの出で立ちで解説いただき、当時にタイムスリップしたかのような錯覚に陥りました。解説だけでなく、ご詠歌とともに緩急をつけた語りに引き込まれていきました。「熊野とは生と死を繋ぐところ」「身も心も洗われて蘇るところ」ということが良く理解できました。その後、大門坂茶屋終身名誉女将の宮本照代様より「平安衣装で歩く大門坂」と題して昔の大門坂の思い出と、平安衣装体験の始まりや現況について学びました。昔は参拝者が来ると「おまいりさんがきた」といって冷たいお茶を出すのが当たり前で、それが一つの喜びだったそうです。小さい頃は夫婦杉(樹齢800年)や石畳で鞠つきや石蹴り、かくれんぼ、なわとびなどをしたとのこと。昔の子ども達は自分たちで道具をつくり、考えて遊んでいたということを強調していました。世界遺産に登録されてから衣装体験や結婚式もされていて、現在87歳ですが、101歳まで身体が動けば続けたいというお言葉に勇気づけられました。最後は当大学の細川学長が中世の熊野詣でについて歴史資料をもとに、とくに後鳥羽上皇および足利義満の娘大慈院聖久(南御所)の旅の流れと補陀落渡海についてのお話をいただきました。京都から熊野に行くにはまず城南宮を出発し、淀川を舟で下り、大阪から田辺に南下し、そこから山道の中辺路を通ってまず本宮へ入ります。そこから熊野川を舟で下り新宮へ行き、海沿いに那智に巡るのが一般的だったようです。また補陀落とは南方浄土のことで、中世はほんとにそこに舟で向かったようですが、その後義務的(自殺行為)となり辞退者も出て取りやめになったとのことです。今日はいろんな不思議が詰まった熊野のお話でした。ただ、若い人の参加が少なかったのが残念でした。ご後援いただいた先生方、お集まりいただいた方々、準備をされた皆様ほんとうにありがとうございました。帰りに買い物で寄ったヨドバシの地下でシュークリームと珈琲を。この形にするのがほんとに難しいとつくづく思うのでした(笑)

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│-│-│2016/09/18(日) 23:24

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