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アラカルト清貧女子:吾唯足知台風14号が恐ろしいですね。うちの辺りも時折強い風が吹いています。明日はおとなしくしていよう。◆先日、放送が終了したテレビドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」を録画で見終えました。7月にお亡くなりになった三浦春馬さんの最後の作品です。関係者のご努力で最終話はうまく完結させ、在りし日の彼の演技を見ることができました。実は8月に放送されたNHKのドラマ「太陽の子」は、録画をしたもののつらすぎて見られなかったんですが、今回のドラマはコメディータッチということもあり、結構面白く見ることができました。とくに、主演の松岡茉優さんが「清貧女子」を演じられていて、そのベースになっているのが鴨長明の『方丈記』です。丈方も実にうまく再現されていて、個人的にかなり没入することができました。清貧ということでは、かつて1992年に中野孝次さんが書かれた『清貧の思想』(草思社) がベストセラーになり、その概念が広がりました。当時はバブル経済が崩壊し、日本に古くからある美徳について本書で説いた訳ですが、経済優先の人たちからは大バッシングを受けていたような記憶があります。あれから30年近くが経過していますが、時代は少子高齢化、経済成長の鈍化、エコブームとも重なり、「シンプルライフ」「ミニマリスト」など清貧に繋がる生活様式が広がってきています。また、車中泊ブームなどもその流れに多少沿うものだと私は考えています。こうした清貧の思想を考える上で、いつも頭に浮かぶのが、京都・龍安寺(りょうあんじ)にある「つくばい」です(写真:以前撮影したもの)。このお寺は石庭で有名ですが、私はこのつくばいというか手水鉢に書かれた文字に衝撃を受けた記憶があります。誰がいつ作ったかわかりませんが、ここには「吾唯足知(われ ただ たるをことを しる)」という言葉が書かれています。中央の四角い部分を口偏として、上下左右に対応する字が組み合わされ、プロダクトデザインとしてもユニークなものです。分かっているけどできないことってありますが、実際に「知足」を実践することで「悟り」の境地にたどり着けるのではないかと考えています。宝飾品を身につけた菩薩が、如来になっていく過程で「物欲」から離れていくわけですが、まさに知足の実践です。ただ、生活にどうしても必要なものはあり、最低限の必需品には熟考して買い揃える。新しいものを加えるときは、古いものにさよならする。清貧を実践すると付喪神(つくもがみ)ではないですが、モノにも精霊が宿ることを意識するレベルになっていくのだと思います。また、小さな良きことに「幸せ」を見いだせるようにもなっていくのでしょう。ドラマで松岡さんが「良き☆」と言うフレーズがとても気にいってしまい、最近独り言で「良き☆」と言うようになってしまいました。ドラマを見ていない人にはちょっと理解できないかもしれませんが…影響を受けやすい私。
│-│-│2020/10/09(金) 22:49│
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