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アラカルト転機になった授業明日から5連休。ジムも完全休業になってしまったし、体がなまる。誰もいない山でも登ろうかなぁ。◆昨日は授業の事を書きましたが、私の場合とても転機となった授業があるので、今日はそのことについて少し書いておきます。もともと文化・芸術系のモチーフが好きで、その延長で美術史を専攻しました。いろんな芸術や文化に触れることは好きでしたし、いろんな地域にでかけました。ただ、大学や大学院の講義の中で、とくに美学的な話はもちろんのこと、かなり抽象的な様式論やその意味についてなんとなく疑問を感じ、いろいろ悩んだ結果、いったん美術史からは離れることにしました。民間企業で働いていた1991年のこと、新聞を読んでいたら慶応大学で「アート・マネージメント講座」「アート・プロデュース講座」を開始するとありました。今からちょうど30年前のことです。感覚的に「これだ!」と思いすぐに申込み、1期生として受講しました。ものすごい衝撃でした。同期には、長年神奈川県横浜市の文化政策を担った野田邦弘さんがいました。彼とはほとんどお話はしませんでしたので、先方は忘れていると思いますが。仕事しながら大学に行っていたので大変でしたが、非常に吸収力があったのを覚えています。今でも当時の講義ノートを大切に保管しています(写真)。授業では、講師の先生にシビアな質問等を常にしていたので、今思うと当時はかなりとんがっていた印象があり、担当の美山先生には大変ご迷惑をかけてしまいました。まぁ、それだけ真剣だったのです。この講座を受けていなかったら、今の私はなかったでしょう。私が本当にやりたかったのは、文化財(=過去を対象)ではなく、文化創造(=未来を対象)をしたかったのだと、はっきり認識できました。文化財も嫌いではないし、今でも好きですが過去を過去のままにせず、未来に繋げる視点が欲しかったのだと思います。当時はそうした学問分野がなく、この後に文化政策という分野が日本のあちこちで花開いていくことになり、それが広がって地域振興と結びついていくのです。未だに迷路を走っているような感覚がありますが、あの頃の何かが生まれ出る瞬間に立ち会えたことは、とても有意義なことでした。人はそれぞれに興味関心がありますが、「これだ!」と思えるものに出会えることができたら、それこそが「幸せ」なのかも知れません。
│-│-│2021/04/30(金) 21:55│
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