アラカルト

日本の葬送儀礼について

父のことがあったせいか、葬送儀礼のことが気になって仕方ありません。調べてみると、関東と関西では骨壺の大きさが異なり、お骨の入れ方も違うようです(写真は株式会社紫苑のHPより)。思い起こせば、父方の祖父が亡くなった時はまだ土葬で、草鞋を履いて竹の棒をもって参列した記憶があります。長野(下伊那郡)の山奥でしたのでまだそうした儀礼が残っていましたが、その後村に火葬場ができて完全になくなりました。もう我々の年代が土葬を生活で経験した最後になるのかも知れません。今回は宗派による作法の違いや、地域による卒塔婆や旅支度の違いなどにも関心をもちました。ちなみに、安倍晋三元首相のお通夜が先日芝公園の増上寺で営まれましたが、かつて私が港区の文化財職員だった頃、墓地改修の一環として増上寺内にある歴代徳川将軍の墓地発掘に参加したことがあります。お寺さんなので火葬されていると思っていましたが、江戸時代であってもほぼ土葬の形式でした。他の寺院の墓地発掘にも数多く参加しましたが、火葬された骨壺だったのは数点だったと記憶しています。考えてみれば、日本の葬送儀礼について普段触れる機会が少なく、時代が変わっていくからこそ民俗資料館などではそうしたこともきちんと伝えていく必要性を強く感じた次第です。

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│-│-│2022/07/13(水) 21:59

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