Access: |
アラカルト魂は存在するのか 〜継承人格論序説〜昨夜は室温が32度以上あり、すでに熱帯夜状態。咳による喉の痛みや足の痛みに加えてこの暑さで、何度も起きたり。ぐっすり眠りたい。◆大著を読了しました。イアン・スティーブンソン(1918-2007、カナダ生まれの医師・研究者)さんによる『前世を記憶する子どもたち』(角川文庫・2011<原著は1990>)です。もと精神科医だった彼が、「前世記憶」という課題に人生を投じ、亡くなるまで約40年の間に世界約2000もの事例を調査研究します。この本は彼の代表作で、以前から読んでみたいとは思っていましたが、500頁を超える内容ですので気合が必要でした。読了して思うのは、この本は単なる事例集ではなく前世記憶をどのように調査・研究・分析してきたかという人格論的研究書であり、彼は一般に「魂」と呼ばれる存在を「心素」あるいは「心搬体」と呼び、特殊な記憶の性質にいてあらゆる角度から検証をしています。方法論的には私が学んできた民俗学の調査手法とほとんど同じで、現象に対して客観的にインタビューをする手法を用いています。彼の研究を私なりに名付けると『継承人格論序説』となるでしょう。また、本書からは彼の真摯な研究姿勢と博覧強記ぶりが伺えました。彼はアメリカのバージニア大学を基盤に研究を続け、彼の死後はジム・タッカー氏が研究室を引き継いでいます。日本人でも中部大学の大門正幸氏は2013年からこの大学の客員教授となっていて、前にテレビなどで見たことがあります。本書によれば、世界中に生まれ変わる前の記憶を持つ子供が少なからずおり、生前の人格(人物)が特定されるケースも少なくありません。子供が持つ記憶の多くは死ぬ直前のものが大半を占め、6割が非業の死(事故死・戦死など)となっているとのことです。また、その人の身体的特徴や行動が似ている点も指摘されています。亡くなってから極めて短い期間であることが多く5年以上である場合はほとんどないそうです。生活圏もそれほど遠くない場所であることが多いそう。中には前世が日本人である例が若干取り上げられていて、興味深いのはビルマの姉妹の事例です。彼女らは、第二次世界大戦でビルマで戦死した日本兵の記憶をもっており、二人は同一部隊に所属する兄弟であったそうです。彼女ら(彼ら)は、日本で生まれ変わろうとしたが果たせず、戦没地に戻ってきたという。別の事例で、同じく戦時中の日本兵の記憶を持つ子供は、最後亡くなるときは自分の首を切って自決したことを覚えており、子供の首にはくっきりと切り傷のような母斑が確認できます(本書に写真あり)。私は東日本大震災以降古代史の研究を始めたことにより、古代人の生死観や精神性について深く考えるようになり、これまで非科学的といわれる対象にも目を向けるようになりました。アメリカでもまだ社会的な評価が十分得られていない状態のようですし日本ではこの手の話題はスルーされる場合が多いですが、1990年時点でこれだけの実証研究がされていたのには驚きました。最近は臨死体験や体内記憶という部分からもアプローチが広がっており、総合的に考えれば「魂がないことを証明することの方が難しいのではないか」と考えるようになっていますし、さらには「魂の特質に関する仮説」についても思いを巡らすようになっています。あくまで趣味の範疇ですし、それがはっきりするのは自分が死んだ時でしょう。
![]() │-│-│2025/06/22(日) 16:45│
|