アラカルト

扇山の記憶 〜星になった案山さん〜

昨夜はニュースを見ていてビックリしました。山梨県の扇山で山林火災が起きたとのこと。学生時代に扇山近くの中野という集落に民俗調査に入り(写真はそのときの報告書)、山中には数え切れないほど入りました。報告書を読み返すと、昔から山林火災はあったようで、かつては扇山の峰伝いに防火線があり、村人がその草刈りをしていたと書かれていました。調査をしたときにはすでに防火線はなかったので、人手不足という問題が昔からあったようです。また、扇山は木食上人や案山上人といった行者の修行場でもあったため、その詳細を調べるため民俗学研究会とは別に「扇山文化研究会」を自主的に組織し活動していました。私はとくに「木食白道」の研究に繋がり、その後本を出版させて頂きました。丁度、火災のあった場所は、江戸期の僧である「案山吉道(あんざんきつどう:1608〜1677)」が晩年に居住した屋敷跡(史跡)がある辺りでしょうか、かなり気になっています。案山さんは、生まれるときに難産となり母が自らの命を省みず鎌で腹を割いて取り出したと伝わります。だから、案山の名は「安産」に通じます。彼は晩年、弟子と共に扇山から富士山に登り、そこで即身成仏となります。中野地域には、「案山さんは富士山に登って星(北極星)になった」という話が伝わっていたのを思い出しました。木食上人を中心に研究していたので案山上人の記憶が定かではないのですが、火災の被害にあっていないことを祈ります。

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│-│-│2026/01/09(金) 14:58

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