アラカルト

流山はなぜ選ばれ続けるのか

朝晩がかなり冷えてきて、半袖では肌寒い感じです。去年は9月でも残暑が長く続きしんどかったですが、今年は有り難いです。そろそろ長袖を出した方が良さそうですね。◆最近読んだ本でとても面白かったのが写真の『流山はなぜ選ばれ続けるのか』(ディスカヴァー携書、2026)です。現・千葉県流山市長の井崎義治氏が書いたもので、知名度の低い赤字財政の町を20年以上の月日をかけて全国で注目されるまちへと育て上げた物語です。読んでまったく損がない本です。「地域経営」というスタンスで書かれているので、私が受け持っている「地域経営論」の素材にもピッタリです。また、地域政策のみならず「マーケティング」「ブランディング」という視点で組織経営全体にも役立つと思います。文章がとても読みやすく、難しい単語はほとんど出て来ない点も良いです。ターゲット概念となる「DEWKs」と「DINKs」と、分析手法としての「SWOT」くらいでしょうか。DEWKsとは「子供を持つ共働き夫婦」で、DINKsとは「子どもを持たない共働き夫婦」です。流山は前者のDEWKsを対象に地域政策を展開させ成功しました。また、SWOT分析は将来計画を立てる際に企業などでも使われる古典的なマーケティング手法(強み・弱み・機会・脅威をマトリクス上で確認する方法)です。彼のやってきたことは、まずビジョンを作り、それを丁寧に実行していくこと、そしてきちっと検証しながら成果を出すという「当たり前のこと」です。魔法はありません。行政で問題なのは、福岡県や東京都のように課題を放置し続けてしまうことです。ブラックボックス的に予算を決定し、予算執行の検証をきちんせず利権を持ち続けることが、結果的に地域や財政を疲弊させていきます。井崎さんの功績は、「お役所体質を民間体質に変えた」点にあると考えています。ただ、これまでの20数年は市民サービス向上と財政再建がメインで、文化政策の視点が弱く地域の目玉が見えません。いろんな要素はありますが、柱と据えるなら世界的なピアニストがいらっしゃるようなので、「音楽のまち流山」を強くプロデュースできたら面白いでしょう。いつか井崎さんを大学にお呼びしてお話しを伺えればと思った次第です。

1.JPG
│-│-│2026/09/10(木) 08:55

page top